キャプテンコラム3月号「長く働き続けるには・・・!?PartⅡ」
前回のコラムではADHDの特性を持った方に向けて、
長く働き続ける方法や対策を解説しました。
ADHDでなくても忘れっぽかったり、
時間にルーズな性格のある方にも使える対策です。
まだ読んでいない方はぜひご一読ください。
今回は発達障害の特性に関連して、
ASD(自閉スペクトラム症)の特性を持った方が
うまく働き続ける方法について解説していきます。
前回と同様に、ASDの診断を受けていない方でも
参考にしていただければと思います。

まずASDの特性には、
いくつかの特徴があります。
コミュニケーションにおいては、
他者との関係性を結ぶことが難しい傾向にあります。
相手の表情やボディランゲージ、
声の微妙なトーンを読み取るのが苦手で、
会話のキャッチボールがうまくいかないことがあります。
このため、会話の中で何を期待されているのか、
相手がどのように感じているのかを把握するのが難しく、
誤解が生じやすいことがあります。
また、言葉に対する反応も特徴的で、
冗談や比喩をそのまま文字通りに受け取ってしまうことがあり、
これが人間関係の中で困難を生むことがあります。
また、特定の興味に強い関心を持つ傾向があります。
あるテーマや活動に対して非常に深い知識を持つことがあり、
この特定の分野に対する集中力や情熱が強みとなることもあります。
しかし、他の興味に対して関心を持ちにくいため、
さまざまなことに柔軟に対応するのが難しいこともあります。
さらに、反復的な行動や習慣にこだわりが強く、
日常的なルーチンや予定が崩れると不安を感じたりもします。
このようなルーチンに従うことで安心感を得られることが多い一方、
予測できない変化や新しいことには不安を感じることもあります。
また、感覚的な過敏さや鈍感さもASDの特性として挙げられます。
例えば、音や光、匂いに対して過剰に反応することがあります。
食べ物の匂いで体調不良を起こしたり
部屋の明かりがまぶしく感じたりもします。
逆に、痛みや温度に鈍感な場合もあります。
このため、職場や学校などの環境が
非常に刺激的に感じられることがあり、
過剰な刺激を避けるために静かな場所を求めることがよくあります。
ASDの特性は人によって異なりますが、
理解とサポートがあれば、
社会生活や仕事の場でも大きな強みを発揮することができます。
ASDは以上のような特性があるため、
社会の中で生きていくにはかなりの神経と体力を使うことになります。
もちろん、働くうえでもストレスとうまく向き合っていく必要があります。
ではこのような特性がある場合、
どのように対処したら健康的に長く働き続けられるでしょうか。
ここからはいくつかその方法や対策を解説していきます。

1. 自分の特性を理解して、無理をしない
まず、自分がどんな特性を持っているかを
少しずつ理解していくことが大事です。
例えば、ある環境で疲れやすいとか、
人とのコミュニケーションで不安を感じやすい
ということがあるかもしれません。
無理をせず、自分が心地よく働ける方法を
少しずつ探していきましょう。
自分のペースで、無理なく進めることが大切です。
これまでの自分の経験を振り返って、
こういうことが苦手だった、
逆にこの環境だったら安心できる、などを紙に書き出してみるといいです。
2. 周りに理解をお願いする
もし辛いことがあるなら、周りの人に話してみるのも良い方法です。
例えば、音や光が気になるなら、
「静かな環境があると仕事がしやすい」と伝えることで、
理解してもらえることが多いです。
最初はちょっと勇気がいるかもしれませんが、
小さなお願いが積み重なることで、
少しずつ働きやすい環境が整っていきます。
要望を伝える際は、
自分の思っていることを先に伝えるのではなく、
「すこし相談のお時間いただけませんか」などと
一言付け加えると相手に受け入れられやすくなります。
3. コミュニケーションをちょっと工夫してみる
コミュニケーションが難しいと感じる時もあると思います。
でも、無理に話すことだけが大切ではないんです。
例えば、メールやメモで情報をもらったり、
用件の確認をしたりすることで、
安心して仕事を進めることができます。
もし、どう伝えていいか分からないなと思ったら、
最初に「今日はちょっと話しづらい気分なんだけど、
もし分からないところがあったら教えてもらえる?」と
言うだけでも、周りの人は気にかけてくれることが多いです。
4. 自分に優しく、完璧を目指さない
仕事や作業があると、
「完璧にやらなきゃ!」とプレッシャーを
感じることもあるかもしれませんが、
そんな時は「今日がんばれた自分にありがとう」と
自分自身に声をかけてあげてください。
完璧でなくても、自分なりに頑張っていることは素晴らしいことです。
自分を責めすぎず、少しずつ前進している自分を認めてあげてください。
5. 周りにサポートをお願いしてもいい
もし、どうしても困った時にはサポートを
お願いすることは全く悪いことではありません。
自分が得意なことを活かし、
苦手な部分については周りに頼んでみても良いんです。
例えば、難しい会話があれば、メモで伝えてもらったり、
優先順位をつけてもらったりすることで、
ストレスなく仕事ができることがあります。
6. 柔軟に働き方を調整する
可能であれば、
柔軟な働き方を取り入れることも考えてみてください。
例えば、通勤が大変だと感じることがあれば、
リモートワークの時間を増やすことができるかもしれません。
自分が一番働きやすい方法を見つけることが、
長く続けられるポイントになると思います。

以上6つが、ASDの特性のある方が
ストレスとうまく付き合いながら働く方法です。
もちろん、誰かに相談して仕事することは
特性のあるなしにかかわらず共通して大事なことですね。
参考にしていただけたでしょうか。
特性があると、
時には職場での仕事が大変に感じることもあるかもしれません。
でも、自分を大切にしながら
少しずつ自分に合った方法で働いていけば、
長く安心して働き続けることができるはずです。
無理をせず、周りのサポートを頼りにしながら、
自分のペースで進んでいきましょう。
あなたが持っている特性は、
決して悪いことではなく、
違う視点から仕事をする力として活かせるものです。
