キャプテンコラム7月号「ストーリーテーリングのすすめ」社員コラムより

突然ですがみなさん、
ストーリー作ってますか??

ストーリーとは、物語のことです。

自分でキャラクターや話の筋を設定し、
どこで感動させるかを考えます。

普段生活していると、
ストーリーを作る機会は
もしかしたらそんなにないかもしれません。

あったとしても、
小説や漫画などの創作活動が主なものでしょう。

学校の授業には文章を読んで問題を解いたり、
作文で自分の考えを述べたりするものが
ほとんどですが、
物語を書くことはあまりありません。

ですが、みなさんが
これから社会人となって働くにあたり、
ストーリーを作る機会も出てくる
ことがあります。

とくにプレゼンや営業では
自分でストーリーを用意して
相手に話すこともあります。

プレゼンや営業でストーリーを作るの? 

そう思うかもしれません。
そういった仕事は、
基本的には相手に話して企画を通したり、
商品を買ってもらったりする仕事ですから
ストーリーがどう作用するかピンとこない人が多いかもしれません。

ですがプレゼンや営業には、
ある一つの大きな、
そしてクリアするには難しい共通点があります。

それが、
「人(聞き手)の心を動かすこと」です。

人は心が動かなければ
行動に移さないことが多いです。
それもお金を払うとなると人は頭をフル回転させて、
これは本当に必要か?
自分にとってどんないいことがあるか?
と考えます。

そんな人に対して携帯電話を売りたいときに、
どんなに魅力的な携帯電話でも
機能と金額だけを話していたら売れないでしょう。

しかし、この製品がいま使っている物よりも
性能が良くなるとして、
それがもしかしたら、
自分の今後の生活をも豊かに変えうるのでは?
と思わせたら? 

自分自身がその製品を持つことで
仕事もプライベートも、
魅力的に変わっていくことをイメージさせられたら? 
買いたいという気持ちは大きく跳ね上がります。

だからこそ単に製品の説明をするのではなく、
相手の心に響くように、
それを手に入れたら
人生が明るく変わるんじゃないかと思わせるように話すこと。
まさにスティーブ・ジョブズが
プレゼンをして観客を熱狂させたように。
そうでなかったらアップル社のiPhoneは
こんなにも売れていなかったでしょう。

他にも例えば、
「友情の尊さ」を伝えたい時に一言で表すよりも
『走れメロス』という物語の方が伝わりやすいように、
ストーリーに共感できる要素があるほど、
理性によってではなく感情によって
伝えたいことを理解させられます。

それにストーリーを聞いて情景を
思い浮かべるのは聞き手なので、
ときには話したこと以上のものを
イメージしてくれることもあります。

これらは人が虚構を作ることを好み
また、その虚構を楽しむという習性があるからこそ
できることだと考えられます。

古代から宗教的な教えを民衆に伝えるときには
神話や演劇が用いられましたし、
歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリは
『サピエンス全史』の中で、
もし私たちが川や木などの
本当に存在するものについてしか話せなかったら、
国家や教会、法制度を創ることは難しかっただろう、
そう述べています。

つまりこの「虚構を作り楽しむ」という
人間の習性を生かして
プレゼンや営業でストーリーを語ることは、
伝えたいことを
より魅力的に伝えるという意味において
非常に有効であると言えます。

では、ストーリーを実際にどのように作るのか
解説していきます。

今回はキンドラ・ホールの『心に刺さる「物語」の
力——ストーリーテリングでビジネスを変える』から、
ストーリーに必要な要素を一部ご紹介します。

ホールによると、
特定のストーリーの要素を含むメッセージは、
それらの要素を含まないメッセージに比べて
強い訴求力を持つと言うのです。

その要素とは以下の通り。

・共感できるキャラクター

・本物の感情

・拡大された瞬間

・具体的なディテール

これら4つの要素こそが、
ストーリーを語るうえで
相手により共感を得るための条件です。

ここではこの中で最も重要と言える、
「共感できるキャラクター」について解説していきます。

ストーリーを語ろうと意気込むと、
なにか主人公になるような“ヒーロー”が必要だと
思ってしまうかもしれません。
アニメや漫画、映画などの主人公は、
選ばれたヒーローであることが多いですし、
ビジネス書でもしばしば
「自分の物語のヒーローになれ」と言われます。
だからこそ、
自分でもストーリーを作るとなったら
主人公である“ヒーロー”を立てようとします。

しかしホールは、そんなものは必要なく、
それよりももっとずっとシンプルで、
「共感できるキャラクター」こそが、
つまり「自分たちの身近にいて繋がっている誰か」こそが
必要
なのだと言います。

例えば、
挫折もなく完璧に仕事をこなす
スーパーマンのような人が高級車を乗り回して
毎晩クラブに行ってモテまくる話を聞いても、
あまり共感はできません。
そういう人もいるんだなくらいにしか思わないですし、
いいなと思ってもなかなか自分には
手が届かない存在のように感じてしまいます。

むしろ、なんの取柄もない平凡で一般的な人が、
頑張ってお金を貯めて買った車で海に出かけたら、
車好きな人たちから声をかけられて
新たな出会いが生まれるという話の方が、
聞いている人も身近に感じられて
共感も得やすくなります。

初めから完璧な人を出してしまうと、
その瞬間から聞いた人は、
自分とは違う人間だなと思って
興味をなくしてしまいます。

『ワンピース』のルフィ
『ドラゴンボール』の悟空は初めから強かったでしょうか。
そんなことはなかったです。

挫折を経験して自分はちっぽけな存在なのだと
認識して努力するからこそ、
私たち読者もそこに共感して物語を読み進めるのです。

プレゼンや営業も同じです。
聞いた人が共感して、
自分にもこの品物があったら
人生が好転するかもしれないと思わせること。

そのためにはストーリーを構成し、
共感できるキャラクターを出して話すことが大切です。

今回はビジネスで使えるストーリーテリングについて
ご紹介しました。

私自身、明光義塾の教室長として働いていたときに、
期別講習の面談でストーリーテリングを使って話していました。

みなさん共感してくださって
関心を寄せてくれましたし、
なにより保護者の方たちが最初はお子さんの勉強の悩みで
暗い顔をしていたのが、
面談でだんだんと明るい顔になっていくのが嬉しかったです。

たしかにストーリーテリングは悪用すれば、
期待だけさせてお金を巻き上げる詐欺にも使えます。

しかし、善い使い方をすれば、
相手がみるみるやる気を出して
生気のこもった顔つきになっていきます。
そして期待以上のものが相手に手に入れば、
信頼も得られ、
ゆくゆくはかけがえのない関係性へと繋がっていきます。

みなさんもこのストーリーテリングを使えば、
これから働く人も、
すでに働いている人も、
大きな活躍ができるかもしれない。

うまくいけば人生をも変えるかもしれません。

そのときにはお客様からも、
周りの上司や同僚たちからも、
絶大な信頼を得ていることでしょう。

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